旅先での出会いとその後のたのしみ
NYで地下鉄を上がり、目的地へ向かおうとしたあたしに声をかけてきた女性がいた。
「すみません、○○へ行きたいんですけど」
あたしも観光客みたいなもんで・・・と言いたかったが
彼女の視線があまりにも必死だったので
バッグからスマホを取り出し、Googleマップでそのポイントを表示させた。
聞けばNY州から遠いワイオミング州から来たとのこと。
「助かりました、ありがとう」
よい旅を、と反対方向に歩き始めたあたしはつぶやく。
(あたしはもすこしとおいところから来たのよ)
NYではちょっとした所要を済ませたあと、
お気に入りのここへ足を運んだのはお気に入りのアーティストさんがいるから。
その方とは前年パリのホテルのカフェでたまたま知り合っていた。
「すてきなペンダントね、どこの?」
と声をかけられたのが最初だった。
銀でアクセサリーを作るのが趣味の友人が作ってくれたもので
大きなラピスラズリがはまり込んだもの。
そのラピスは父が南米出張のときに買い求めてきてくれたものだった。
「私もジュエリーデザイナーなの。私のデザインはきっとあなたも気に入ってくれるはずよ」
いつでも訪ねて来て、と言ってくれていたのでおっちょこちょいなあたしは
喜んで出かけていったのだった。
NYの彼女とはいまはLINEでのやり取りが続く。
ひとりで旅をしていると旅先で知り合う方との縁が
続くこともあればそこで終わることもある。
続くのはよほどの引力が働くのだろうと思うので
拒まずご縁をいただくことにしているのだが
今日のランチもそういうおひとり。
あたしよりひとつ年下で最寄交通機関がまるかぶり、
じゃあいっそ東京で会いましょうということに相成ったのだった。
先日は「つじ半」をご一緒した方ともそうだった。
「コミュ力、高っ」
んなもん?
これだから旅はおもしろい。